より変更管理システムを使いこなすための方法

インシデントとは通常業務を行うことを妨げるさまざまな問題点です。利用者がしたいことができない状況です。しかし、それは必ずしも障害が原因とは限りません。インシデント管理とは、利用者がしたいことを問題なくできる状況に導くことです。インシデントが発生しないようにしたり、インシデントが発生した時に即座に回復できるすべを知っていることが大事です。インシデントに見舞われた時にどうすればよいかを考えるのがインシデント管理です。また、その原因を追究し、問題点を回避するのが問題管理です。インシデント管理や問題管理への対処法として変更管理システムが視野に入ります。ハードウェア、ソフトウェア、人を変更することにより、問題点を回避します。他の原因で変更を行う場合も、変更管理システムで把握する必要があります。

変更管理システムにはどんな目的があるのか

変更管理システムの目的は、変更したことによって、業務が円滑に行われないなど、マイナスの影響を受けることを避けることです。変更管理システムとは、変更したことを管理するのではなく、変更によってもたらされる影響を管理するシステムです。ITILでは、変更を行うためには変更管理プロセスを必ず経ることが必要で、変更をいつ行うのか、どのように行うのかなどを決める変更諮問委員会の招集が必要とされていますが、実際にそれを行うのはなかなか大変なことです。特に、これまで変更の手順が明確化されていなかった組織にこのシステムを導入することは大変ですし、その煩雑さに大きな反発が来るのは目に見えています。結果的に組織がうまく回らなくなる危険性もあります。変更管理システムを取り入れるには工夫が必要です。

変更管理システムが目指すところ

変更管理システムを導入する場合、特にこれまで明確な基準などが設けられていなかった組織で導入しようとするなら、そのハードルを低くするために、最重要項目だけを押さえて導入する方法が望ましいです。ITインフラのすべての変更をシステム管理者が把握すること、変更することでどんなマイナスな影響が出るかを把握しておく、変更を行わなかった時に出るマイナスな影響を把握する、という3点です。特にこの3つの中でも、システム管理者がすべての変更を把握することが大切であると同時に、難しいことでもあります。変更管理システムを導入する前に、構成管理システムを導入するべきです。変更前にどんなシステム構成だったのか、変更によって何がどう変わるかを理解することで、変更によるマイナスな影響が正確に把握できます。